【CPAO9周年のメッセージ 理事長/徳丸ゆき子】

9年前の今日、5月24日。 大阪のマンションの一室で亡くなった母子の事件 を知り、自らも孤育てし、他人ごとだと思えず心を痛めていたシングルマザーの私が、このように活動を今日も続けていられるなんて、当時を思うと全く思いもよらないことでした。

「生きてたら嫌なことも辛いこともある。でも世の中は捨てたもんじゃない!」
「子どもたちに少しでも希望をもって生きていって欲しい」

自分に言い聞かせるように、そしてそれを伝えるために。
子どもたちと共においしいものを食べ、思いっきり遊び、心置きなく笑いあう。言葉だけじゃなく、それらを子どもたちに体験してもらいたいと、全力でやってきました。

逆に子どもたちから、「目的なんか関係ない。ただ楽しい、面白いからやる!」そんな作法や人生を楽しむ方法を学び、そこに自分も救われながら、何とか続けてこられた9年間でもありました。

本当に数えきれないほどの子どもたちと寝食を共にし、泣いたり笑ったり、かけがえのないたくさんの時間を一緒に過ごさせてもらいました。
何の制度でもなく権限もない、今も「しょぼくて、すみません」と思うようなことしかできない私たちですが、信じて時に託し、共に子どもを育てようとしてくださり、現在では直接活動をサポートくださる、そんな保護者のみなさんには感謝しかありません。

「ビジョンや戦略は何ですか?」と、よく聞かれます。
関わった子どもたちの声やニーズからできることに尽力する。そして「子どもの今をサポートしたい」という想いはありますが、ただ実際のところ、ビジョンと言われると分かりません。それに、うまくいかないことばかりです。
「人事を尽くして天命を待つ」、そんな心持ちで、目の前のものと一つずつ対峙してきました。

現在、CPAOが取得している場所は事務所を入れて5か所、そしてスタッフや、何らかの形で働いてくださっている方は30名ほどになりました。

民間で、ただ人々の心寄せだけで成り立ってきた活動です。活動をすればするほど、心ある人がこんなにもいることを知るばかりです。

いつも私たちの活動を陰ひなたとなり、共に子どもたちのためにと、あたたかく見守り、サポートしてくださる全国、海外の方も含む、たくさんのみなさまのおかげです。

関わってきた子どもたちが大きくなり、思春期となり、子ども時代の総仕上げとも言える、自立するためのサポートまで関わらせてもらえるようになってきました。
さらにお金や人やモノと、たくさんのリソースが必要で、スタッフは常に頭を痛めていますが、この活動にニーズがある限り何とか続けて行きたいと、初心変わらずで思っています。

活動を継続させる道も必死で探りながら、子どもたち、保護者、サポーター、スタッフのみなさんと共に、来年の10周年にたどりつきたいと思います。

今年こそは短くするぞと思いながら長文となってしまいました、申し訳ありません。
お読みくださりありがとうございました。

みなさま引き続き、共に子どもの育ちをサポートくださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。


この写真は、ある子が海辺で拾い、そっと見せてくれたガラスや貝殻の破片です。
これをキレイだと思い、共有してくれる、そんな子どもの素晴らしい心を守りたいです。


NPO法人CPAO 德丸ゆき子


【CPAO9周年のメッセージ 事務局長/兼松徹】

「まずは1年、おもいっきりやってみます!」
2013年8月の設立フォーラムで徳丸代表が叫んでいました。
その熱に圧倒されたこの日。

私はここからCPAOでの取り組みをスタートさせました。
CPAOは拠点も資金も、ほんとに何も無かったスタートラインでした。
資金は0。
思いのある人は集まれど、みなさん本業を持たれており、フルタイムで活動しているのは代表の徳丸のみ。
「何かしら国からお金もらってるのかな?」と、ぼんやり想像しながら活動続けていると、そのうち見えて来る実情は、徳丸がシングルマザーとして今まで働いてきた貯金だけが資金だということでした。

「そりゃ、1年しか保たないわ…」
というのが当時の私の本音。
だとしたら、1人の人間がこれだけすべてを投げ打って本気で子どもたちの問題に関わろうとしてるのに、せめて不完全燃焼させてはダメだ!、何かしら「やり切った!」と言えるところまで、できることで関わりたい、と腹が決まりました。

1年はあっという間に過ぎました。
まだまだやること、やりたいことが溢れ出しており、ここで止めたくない、という思いと共に、出会ってしまった子どもたちと今更関係を切れるわけもない、といった状態で、継続はもう当然でした。

そこからは予想もしてなかった活動が続いてきました。
「CPAOは何が起こるか分からない」
「CPAOはどうなっていくか想像もつかない」
関わっていただく方からもよくそう言われますが、それは私たちも同じ。
子どもたちのニーズに合わせてやっていく、というスタイルで、それはどこまでも子どもたちにワクワクする世界へ連れて行ってもらっている感覚です。
そんな中、ついに10年目に入りました。

いつの間にか、活動拠点が大阪や和歌山に5ヶ所。関わってくださる方も増え、当然、相談やサポートは増えるばかり。

でも、お金が無い状況は今も変わりません。

少しずつでもご寄付くださる方も増え、活動も必死でやってきましたので、助成金もなんとか獲得してこれました。
しかし、すべてが制度外の自主事業。
国からの補助などもまったく無い中、さらにはニーズに応えて始めた事業や、これからやりたい事業はまだまだあります。

そのためにも、今後の資金が生命線となります。
「まずは1年」と発した思いを子どもたちの希望につながるカタチにまで届かせたい。

そのために、所得控除や税額控除が可能になるよう、認定NPO法人も取得しました。
少しでも活動内容をお伝えできるよう、HPも刷新し、広報にも力を入れるようになりました。

潤沢な資金を有する活動型のNPO団体は本当に少ないですが、私たちは「お金が無いから続けられなかった」などと子どもたちに言い訳もできません。
皆様方からのご寄付を子どもたちの希望へと直結させられるよう、これからも全力で目の前の子どもたちに応えていきます。

次なる目標の10周年に向け、お亡くなりになられた方も含め、ここまでにお世話になってきた様々な方がいます。

そんな方々のお気持ちさえも子どもたちを支える私たちの目や手として、これからもサポートを続けていきます。

これからもまたどうぞよろしくお願いします。


NPO法人CPAO 兼松徹