“孤立を手前で止める”地域インフラと、シェアが生む生活の安心感

今回、12/8〜15にかけて、ドイツ・ハンブルクの関係者のみなさんに招待いただき、子ども・若者サポート/ケアの現場を視察しました。

草の根団体から行政、街の取り組みまで幅広く、現場スタッフや若者たちとも直接話しながら、制度・運用・日常のリアルを多角的に確かめ、交流できた時間でした。

正直、現場では「やってもやっても行き詰まり」を感じる局面もあります。だからこそ今回、招待いただき現場を見て、対話できたことが本当にありがたく、次の一歩を考える力をもらいました。

クリスマスマーケットはきらびやかで、街全体が華やいでいました。

一方で、路上で生活する若者や助けを求める人の姿も多く、同じ街の中にある現実の落差を強く感じました。だからこそ、今回見た「孤立を手前で止める仕組み」や「生活の安心感を底上げする仕組み」を、理想論ではなく実装として考えていきたいと思いました。

結論から言うと、支援が「制度」だけで完結するのではなく、地域の日常インフラとして接続されていることがとても印象的でした。

食(配布・フードレスキュー)、若者の居場所、文化・交流の拠点、そして運営基盤が近い導線上でつながり、困りごとが深刻化する前に、次の接点へ自然につながる設計がありました。

そして今回の視察を通して、ドイツ・ハンブルクの取り組みは、官民の協働として参考になると感じました。行政が土台(制度・財源・仕組み)を担い、民間や地域が日常の接点(居場所・食・交流・循環)をつくる。その役割分担があるからこそ、支援が「特別な場所」ではなく、街の導線として機能しているように見えました。

日本では、どうしても民間の努力や善意に負荷が寄りやすいと感じる場面があります。だからこそ、行政が土台を担い、民間が日常の接点をつくる――そんな官民協働をどう実装できるかを、今回の視察を手がかりに考えていきたいです。

さらに、生活の安心感を底上げしていたのが、**シェア(共有冷蔵庫・物品循環など)**です。

支援というより“まちの仕組み”として日常の中にあり、家計のブレを小さくし、恥やためらいが生まれにくい。その結果として、孤立が深まりにくい環境がつくられていました。

そしてもう一つ。仕組みや予算が日本よりかなり厚いドイツ/ハンブルクであっても、支援の難しさは残ることも実感しました。

とくに、心や体の状態が不安定になっていたり、依存の課題が重なっていたりすると、支援につながること・つながり続けること自体が難しくなる場面があります。現場の方々の言葉や街の風景を通じて、「制度があること」と「届き切ること」の間にあるギャップを実感しました。

だからこそ、「制度の厚み」だけではなく、日常の入口の多さ/恥を生まない導線/関係を続けられる仕組みを、官民でどう実装するかが鍵だと改めて思いました。

この視察は単発ではなく、2023年3月からの交流の延長線上にあります。

ハンブルク市と大阪市が姉妹都市であることも背景に、CPAO(シーパオ)をパートナー団体としてくださり、2024年8月にはドイツの若者が約1週間、関西へ来訪。CPAOの支部である和歌山県橋本市で合宿を行いました。

そして今回の訪問は、2026年にCPAOが関わる日本の若者のドイツ訪問に向けた下見でもあります。さらに、ドイツ・フランス・日本の若者が集う東京合宿も、来年または再来年の実施に向けて企画中です。

完全な取り組みなどなく、「海外の取り組みすごい」で終わらせず、シーパオの現場に翻訳していきます。来年早々に報告会も予定しています。

応援・連携も歓迎です。